薬選びを間違うと、治る病気も治らないということがあります。また、医師や薬剤師に相談することなく、素人判断で薬を飲んだり塗ったりするのも極めて危険であるといえます。
皆様は、医師免許もない人に自分の体の診察や治療をしてもらいたいでしょうか? これらの問題は、法律の世界においてもあてはまるのです。
特に多額の借金に苦しみ、これを何とか法的に解決しようとするときに、その方法を間違ったり、言葉巧みに言い寄ってくる無資格者の口車に乗ってしまったりすると、生活は楽になるどころか更なる苦境に追い込まれるということさえあります。
こうした危険を回避するために必要なことは何でしょう?挙げればキリがありませんが、やはり、次の2点に集約されるといえます。
1.それぞれのメニューの特色を知ろう!
(1)自己破産
(a)メリット
・免責(裁判所が「借金をゼロにしてよい」という決定をすること)を受けることができれば、すべての債務は免除されます。
・破産宣告以後の収入や新たに得た財産を債務の弁済に充てることなく、自由に使うことができます。
・多額の借金を抱えていて、どうにもならないという状況から経済的に更生する場合に適しています。
(b)デメリット
・大体5~7年くらいの間はローンやクレジットを利用することはできなくなります。
・生命保険の外交員、警備員などの一定の職種に就けなくなります。
→免責を受け復権すれば、この制限はなくなります。
・会社の取締役などになっている方は退任事由になります。
→免責を受け復権すれば、この制限はなくなります。
・高級車や不動産などの財産を所有していて、これらを手放したくない場合には、手続を利用することができません。
・借金の原因がギャンブルや風俗店通いにある場合には、免責不許可となり、債務の免除がされないおそれがあります。
(2)民事再生
(a)メリット
・特定調停(→(3)参照)や任意整理(→(4)参照)と異なり、利息のみならず元金を減額することができます。
→個人版民事再生においては、原則として債権額の5分の1か、100万円のいずれか多い方の額を3年間で返済していくことになります。
・住宅を持っていて住宅ローンがまだ残っているという場合、住宅を手放すことなく再生手続を行うことができます。
・自己破産と異なり、生命保険の外交員、警備員をしている方も引き続き仕事をすることができます。また、会社の取締役も退任する必要はありません。
・免責不許可事由がある場合にも、利用することができます。
(b)デメリット
・大体5~7年くらいの間はローンやクレジットを利用することはできなくなります。
・各債権者に対し返済を続けていくことを前提とした借金整理の方法になりますので、収入がなければ民事再生を利用することはできません。
・手続が複雑で、手続の期間も他の手続に比べて長くかかります。
→自分自身で手続を進めることはまず不可能です。そのため、専門家に委任することが必要で、他の手続に比べて多額の費用を必要とします。
(3)特定調停
(a)メリット
裁判所が債権者と債務者の間に入って話合いを行いますので、専門家に依頼をしないで、自分で手続をすることができます。
→したがって、費用も他の手続に比べて安くすみます。
・自己破産や民事再生とは異なり一部の債務のみを整理することができます。
→ローンのついている車や不動産などの財産を手放したくない場合にも、手続を利用することができます。
・給料の差押えなど、すでに強制執行がなされている場合、申し立てることにより、強制執行を停止させることができます。
・自己破産と異なり、生命保険の外交員、警備員をしている方も引き続き仕事をすることができます。また、会社の取締役も退任する必要はありません。
(b)デメリット
・大体5~7年くらいの間はローンやクレジットを利用することはできなくなります。
・自分自身で手続を進める場合には、最低でも3回は、自分が裁判所へ出頭しなければなりません。
・各債権者に対し返済を続けていくことを前提とした借金整理の方法になりますので、収入がなければ特定調停を利用することはできません。
・消費者金融のような利息が高いところで借り入れをしていなければ元金の減額はできません。
→利息制限法では利息の上限(10万円まで年利20%、10万円から100万円まで年利18%、100万円以上は年利15%)が決められていて、銀行などの金融機関は、その制限を守ってお金の貸し付けをしているのですが、消費者金融では、年利29.2%というように、その制限を超えた利息でお金を貸し付けている会社が相当数ありました。
特定調停の手続では、利息制限法を超えて支払った利息については元金に充当するとして元金を減額し、その減額した元金に対し利息をカットした形で返済していくことになります。
・現在のところ、過払金の返還(→(4)(a)参照)までは、調停の中に盛り込むことは難しい状況にあります。
→過去に利息が高額な消費者金融で借り入れをしていた場合、利息制限法の利率を適用すると、元金が利率に合わせて減ることになります。債権者へ長期間(20年以上)返済していれば、債務を完済しているだけでなく、支払わなくてもよい金員を支払っている(過払い)場合があります。
・裁判所の調停委員の中には、元金を減額したり、利息をカットするような調停案を「問題有り」とする委員もおり、債権者に圧倒的に有利な調停を成立させられてしまう場合があります。
→残念なことですが、調停委員の中には、債務者の人権に寄与するというよりも、「借りたものを返すのは当然」という立場に立って、高圧的な態度で債務者に接してくる人もいるという話も耳に入ってきます。
自分が納得できない調停案は、「安易にのまない」という勇気も必要です。納得のいかない調停案を示された場合には、毅然とした態度で「この調停案はのめない」という意思を調停委員に表示し、まずは最寄りの司法書士事務所又は弁護士事務所にご相談下さい。
(4)債務整理(任意整理)
(a)メリット
・裁判所を通しませんので、同居している家族、友人、会社の同僚などにも知られることはありません。
・依頼後は簡裁訴訟代理関係業務の認定を受けた司法書士(認定司法書士)又は弁護士が債権者と交渉をしますので、仕事が忙しく裁判所に行く時間がない方も利用することが可能な手続です。
この場合において、過払金が生じた場合には、認定司法書士又は弁護士を代理人として、過払金の返還を債権者と交渉することも可能であり、債権者がこれに応じない場合には、過払金の返還を求めて訴訟を提起することもできます。
・自己破産や民事再生とは異なり一部の債務のみを整理することができます。
→ローンのついている車や不動産などの財産を手放したくない場合にも、手続を利用することができます。
(b)デメリット
・大体5〰7年くらいの間はローンやクレジットを利用することはできなくなります。
・各債権者に対し返済を続けていくことを前提とした借金整理の方法になりますので、収入がなければ任意整理を利用することはできません。
・消費者金融のように利息が高いところで借り入れをしていなければ元金の減額はできません。
・借金の総額が大きい場合には、無理な返済プランを立てたために、返済が中途で挫折するおそれがあります。
→このような場合には、最初から自己破産を選択すべきでしょう。
2.チラシや広告の甘い誘惑はキッパリ断る
最近、新聞(特にスポーツ新聞)や雑誌には、毎日のようにこんな甘いささやきが載せられています。
「債務を整理・解決します」「件数多い方でも可」「まとめローン」「低利一本化」
ワラにもすがる想いで訪ねてみると、次の瞬間、地獄に突き落とされるような言葉が返ってきます。
「こんなに借入額が多いと、融資はできませんねぇ….」
「カタい仕事(公務員など)でないと、融資はムリですよ….」
理由など何でもよいのです。最初からカネを貸す気はないのですから。話が違うとすっかりしょげ込んでいる債務者に、しばらくして店の人間は、優しい言葉を投げかけてきます。
「でもね、一つだけあなたが助かる方法がありますよ。○○司法書士(又は□□弁護士)を紹介しますから、そこで債務整理をすることです」
「捨てる神あれば、拾う神あり」
債務者が胸をおどらせて教えられた○○司法書士事務所(又は□□弁護士事務所)に行くと、大抵○○司法書士(又は□□弁護士)は事務所にいません。まれにいても、せいぜい挨拶程度に顔を出すだけです。応対するのは、もっぱら「事務(局)長」という「名刺上の肩書き」を持つ無資格者なのです。
そして、事務(局)長が債務整理の着手金の名目で現金を受け取った後も、○○司法書士(又は□□弁護士)が債務整理を行うことはなく、すべては事務(局)長とその部下である事務(局)員(→彼らこそ世にいう「整理屋」)が債務整理を行います。
○○司法書士(又は□□弁護士)というのは、債務者を安心させるための「看板」にすぎず、整理屋から「看板料」として、報酬の何割かを受け取っているのです。このような司法書士(又は弁護士)は、「提携司法書士(又は提携弁護士)」といわれる悪徳司法書士(又は悪徳弁護士)なのです。
提携司法書士(又は提携弁護士)の「看板料」は、債務者が事務所に支払う債務整理の報酬に当然上乗せされますから、提携司法書士(又は提携弁護士)の報酬は、一般の司法書士(又は弁護士)のそれに比べてはるかに割高になり、債務者の負担は、債務整理をする前とほとんど変わりないのです。
しかも、このような事務所には、金融会社に長年勤め、取立てのノウハウを知り尽くした「取立ての専門担当者」までいて、報酬の支払が少しでも遅れると、(携帯のみならず)自宅や職場まで執拗な催促電話をしてきたり、果ては自宅や職場にまで押しかけてくることさえあるのです。
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